親なきあとが心配でも、今夜の台所に救われる

台風が近づいて、気圧のせいで寝てばかりの数日。深夜にむっくり起きた50代の息子さんが、台所に立って鶏むね肉のガリバタ炒めを作りました。少し焦げたけれど、それも良しとしたそうです。

翌朝、85歳のお母さんは一言。「ガリバタは良いおかずになりました」

親なきあとのことを考えると、胸が重くなる。それでも、今日の台所の一言に救われる日はありませんか。

「8050」を明るく書く人

これは「母と息子の8050クッキング」というnoteの連載です。書いているのは、精神疾患を抱えて24年目になる元新聞記者の天地成行さん。「親なきあとも生活を続けていけるように」と願う80代の母と、台所を通じて少しずつ回復していく記録だと紹介されています。

「料理はうまくいく日もあれば、迷走する日もある。それでも母は、味見をして、ひと言そっと声をかけてくれる」

暗く書いても仕方ないので、明るく、ポップに書いている、とも書かれていました。

「8050」は、ニュースでは重い話として出てくることの多い言葉です。でもこの連載の中では、味見と一言の積み重ねでした。読んでいて、いちばん心に残ったのはそこです。

元気なうちに、と思い始めた日

重い知的障がいと自閉症のある息子さんをもつ看護師のお母さんが、noteにこんなことを書いていました。自分の母から「ロッカーみたいなお墓、契約しに行きたいねん」と言われ、悲しくなった。でも後から、母が元気なうちに子どもたちの暮らしを考えているのと同じように、自分も元気なうちに、息子の暮らしを考えておきたいと気づいたそうです。

夫の言葉は「急に俺ら死んだら、可哀想なんは息子やからな」。

住む場所も、一緒に暮らす人も、頼る人も、全部いっぺんに変わる方が息子にはしんどいと思う。だから、親以外の人にも頼れる暮らしを、元気なうちに作っておきたい。そう書いていました。

一つ知っておくと

親以外の人に頼る形の一つに、障害福祉サービスの「短期入所(ショートステイ)」があります。家で介護している人の病気などの理由で、施設に短い期間泊まり、入浴や食事などの支援を受けるサービスです。厚生労働省の説明では、障害者支援施設などで行う福祉型の対象は、障害支援区分が1以上の人です。

いざというときに初めての場所で全部が変わるより、知っている場所が一つあるほうが、本人も家族も少し心強いのかもしれません。

台所の天地さん親子も、看護師のお母さんも、今日の暮らしを大事にしながら、先のことを少しずつ考えていました。

おうちの台所で、最近いちばん心に残っている一言は何ですか。

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