「特別な才能があるんでしょう」と言われたとき

月曜の夜、芦田愛菜さんが自閉スペクトラム症の新人弁護士を演じるドラマ『南田南弁護士は天才肌』が始まりました。東大法学部を首席で卒業し、司法試験もトップで合格した、という設定です。見終えたあと、少しだけ胸がざわついた家族もいたかもしれません。

ため息が出る、という声

放送の翌朝、ドラマを紹介するニュースのコメント欄に、自閉症のお子さんがいるという方の書き込みがありました。芦田さんの演技は自閉症らしさをよく表していると評価したうえで、テレビに出てくる自閉症の人は特別な才能のある人ばかりだ、と。親戚から「特別な才能があるのでは」と言われたことがあり、ため息が出てしまう、とも書かれていました。ドラマを責めるつもりはない、と断ったうえでの言葉です。

この「ため息」という言葉が、印象に残りました。言った側に悪気はなく、励ますつもりなのかもしれない。だから怒ることもできずに、ため息になる。そういうことなのかもしれません。

小児外科医で作家の松永正訓さんの記事にも、知的障害を伴う自閉症の青年と、そのお母さんが出てきます。青年は、トイレの水の流れる音を聞くだけで、便器の型番を当てられるそうです。お母さんは友人から、トイレのメーカーに就職したらと言われたこともある。でも本人は、ショールームの便器には興味がない。お母さんがたどり着いたのは、何かに役立たせようとストレスをかけない、という結論だったと書かれていました。

診断の条件に「才能」は入っていない

ここで一つ、知っておくと少し楽になるかもしれないことがあります。国の発達障害ナビポータルは、自閉スペクトラム症を、社会的コミュニケーションや対人関係の持続的な困難と、行動や興味の限定された反復的な様式が見られる神経発達症の一つ、と説明しています。診断では、この二つの特徴に加えて、発達の早い時期からあることや、生活に支障が出ていることなども条件になります。特別な記憶力や計算力は、どの条件にも入っていません。松永さんも同じことを書いています。

才能が目立つ人もいれば、そうでない人もいる。それは自閉症でなくても同じです。親戚に何か言われたとき、「才能があるかどうかで見なくていい」と心の中で思えるだけでも、ため息は少し短くなるかもしれません。

返し方は、いくつあってもいい

言われたその場で、うまく返せなくてもかまわないと思います。たとえば、こんな返し方もあります。

  • 「ドラマの人とは、またちょっと違うんだよね」と軽く流す。
  • 「才能より、毎日楽しく過ごせているかが気になってるの」と、今の気持ちを話す。
  • その場は笑っておいて、あとで信頼できる人に「今日こんなこと言われた」と話す。

どれが正解ということはありません。相手との距離や、その日の自分の余裕で選んでいいのだと思います。

ドラマをきっかけに、自閉症を知ろうとする人は増えるかもしれません。その一方で、才能の物語の外側で、ため息をつきながら毎日を過ごしている家族もいます。

「才能があるんでしょう」と言われたとき、あなたはどう返していますか。

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