お子さんの通帳がどこにあって、毎月いくら出入りしているか。それを知っているのは、自分だけではありませんか。
自分がいなくなったら、このお金は誰が見てくれるのだろう。考えなきゃと思うほど、手が止まってしまう。そういう夜があると思います。
「息子を一人にしてきたんです」
まいどなニュースに、司法書士が関わった親子の話が載っていました。90歳のお母さんと、軽度の知的障がいがあり脚も不自由な60歳の次男の二人暮らし。お母さんは買い物の帰りに道が分からなくなって保護され、その後、施設に入りました。
それでもお母さんは、すぐにでも家に帰りたがったそうです。「息子を一人にしてきたんです。家に帰らないと」。
調べていくと、息子さんの障害年金の多くが、通帳に残っていました。お母さんは息子さんの将来を考えて、月10万円に満たない自分の年金と貯金から、二人分の生活費を払ってきたようです。親子の暮らしは、お母さん一人が回していた。その分、お母さんが動けなくなったとたんに、施設の費用も息子さんの生活も行き詰まってしまいました。
この話で印象に残ったのは、通帳に残っていた障害年金でした。一人で守ってきたものは、守ってきた人が動けなくなると、ほかの誰にも見えなくなってしまうのかもしれません。
親が元気なうちに、という声
仙台市で重い障がいのある子をもつ親たちが、住まいの整備を求める要望書を市に出したとき、会の代表はこう話していました。「親なき後も安心して託せる住まい。親が生きてる間に作っていかなければ安心できない」。
住まいの話ですが、お金の話も同じかもしれません。
社協の「日常生活自立支援事業」
一つ知っておくと、相談の入口になるかもしれない仕組みがあります。社会福祉協議会(社協)の「日常生活自立支援事業」です。
知的障がいや精神障がい、認知症などで判断に不安がある人が、社協と契約を結んで、福祉サービスの手続きや、預金の出し入れなど日常のお金の管理を手伝ってもらう仕組みです。通帳などの書類を預かってもらうこともできます。契約の内容を本人が理解できることが条件で、窓口は住んでいる市町村の社協です。利用料は地域の社協ごとに決まっていて、厚生労働省によると訪問1回あたり平均約1,200円です。契約前の相談と、生活保護を受けている世帯の利用料は無料です。
ただ、共同通信の記事によると、この事業は今、人手が足りず、申し込んでも面談や契約まで長く待つ人が増えています。今年3月末時点で3,931人と、前の年の1.4倍でした。
だからこそ、困ってからではなく、親が元気なうちに一度、窓口で話を聞いておく。それだけでも、通帳のありかを知っている人が一人増えるのだと思います。
お子さんのお金のこと、いまは誰が見ていますか。

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