「親がもっと動けば」という声が聞こえるとき

誰に言われたわけでもないのに、「親がもっと動けば、変わったんじゃないか」という声が聞こえる気がする。子が長く家にいる時期を過ごした家族には、覚えのある声かもしれません。

ひきこもりの家族会「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」の大阪の会が、国の会議に出した資料に、会を訪れたお母さんの言葉が載っていました。誰かが言うのではない、むしろ誰も言わない。「だけど聞こえるんです」。お前の育て方が悪かったんだ、という声が。

ドラマの中の「親の決断」

フジテレビ系の土曜深夜のドラマ「再生のウズメ」は、28歳から12年間実家にひきこもった元役者のウズメ(イモトアヤコさん)が、便利屋に連れ出されて、少しずつ外で働き始める話です。黙って見守る父と、第三者に頼むと決めた母が出てきます。

テレビ評論家の吉田潮さんは週刊誌のコラムで、このドラマについて「やはり親の決断は大きい」と書いていました。ドラマの見方としては、そういう読み方もあると思います。ただ、家にこもる子がいる家族には、この一文が少し重く届くかもしれません。

そのコラムのコメント欄にも、ひきこもれるのは家に余裕があるからだ、という声に共感が集まっていました。家族に向けられる目は、ドラマの外でも変わらないのかもしれません。

なお、ひきこもりは障がいとは別のものです。ただ、子の障がいや病気と重なっている家族もいて、同じような目を向けられることがあります。

きっかけは、大人になってから

一つ知っておくと、少し肩の力が抜けるかもしれないことがあります。内閣府の「こども・若者の意識と生活に関する調査」(令和4年度)では、40〜64歳でひきこもり状態にある人のうち、初めてそうなった年齢が40歳以上の人が約7割でした。きっかけには、退職、新型コロナの流行、病気などが並んでいます。15〜39歳でも、ひきこもり状態になった年齢は20歳以上が約6割です(厚生労働省「ひきこもりVOICE STATION」のまとめによる)。

子育てのことだけで説明できるものではない、ということです。

親が元気でいること

10月に岡山で開かれた厚生労働省のイベントでは、ひきこもりを経験した人が、母親が元気になることで自分も元気になっていいと思えた、と話していました(岡山経済新聞)。KHJの資料にも、家族会で「親は、親自身の人生を元気に生きればいいんだ」と気づいた、という一文があります。

動くかどうかを考える前に、自分を責めるのを少し休む。遠回りに見えて、それも一つの道なのかもしれません。

一日のうちで、自分を責めずにいられる時間はいつですか。

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