実家に帰ると、兄が仕事から戻るまではピアノを弾ける。兄が帰ってきたら、音を立てるのを遠慮する。兄のテンションが低い日は、夕ごはんの会話が少なくなる。大学生のきょうだい児の方が、一人暮らしを選んだ理由をnoteにそう書いていました。
家族は嫌いじゃない
書き手には、自閉スペクトラム症のある兄がいます。兄は働いていて、家族みんなで兄の世話をしていたわけではないそうです。それでも「なんとなく兄が家族の生活の中心になっている気はしました」と書かれていました。
大学には、実家から電車で2時間半ほどで通える距離でした。親には「朝早く起きるのが嫌だから」と説明したけれど、ほかにも理由があることは自分でも分かっていた。ただ、親の前でそれを言葉にしたことは一度もなかったそうです。
「家族は嫌いではないです」「兄とは離れたいというわけでもない」。そのうえで、一人暮らしが正解だったのかは今も分からない、と結んでいました。
この文章を読んで、どきっとした親御さんもいるかもしれません。
気づいていても、手が回らない
別のきょうだい児の方は、「誰かを羨ましいと思うことと、その人を大切に思うことは、両立する」と書いていました。障がいのある妹たちが大切で、それでも「私のことも見てほしい」と思っていた。その二つは同時にあっていい、という言葉です。
親の側の言葉もあります。発作のある子を育てるお母さんは、上の子たちに我慢させていると分かっていながら、状況を変えられなかったと書いていました。いちばん怖かったのは「上の子たちがママを嫌わないか」だったそうです。
私の家にも、子どもが2人います。塾や部活で何かあると、どちらかにつきっきりになってしまうのは、仕方のないことだと思っています。いろんなことに挑戦する子のほうには、どうしても手をかけてしまう。そのあいだ、もう片方がふてくされていないか、いつも気になっています。
きょうだいは、遠慮していることを親に言わないことがあります。親のほうも、気づいていて手が回らないことがある。どちらかが悪いという話ではないのだと思います。
きょうだいには、きょうだいの集まりがある
一つ知っておくと、少し楽になるかもしれないことがあります。障がいや病気のある子のきょうだいが集まる「きょうだい会」は、全国で活動している団体から、地域ごとの会まであります。国の研究班が令和元年度にまとめた事例集にも、北海道から福岡まで、各地のきょうだい会が並んでいました。
親には言いにくいことも、同じ立場の人になら話せることがあります。家族の外にそういう場所があると知っておくだけでも、親が一人で全部を受け止めなくていいのかもしれません。
一人暮らしを選んだ書き手は、これからも思っていることを発信していくと書いていました。家を出ることも、きょうだいなりの一つの答えなのだと思います。

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